ドラゴンクエスト名曲選っ!!!!

 はいこんばんは。

 本日(執筆開始時点、9月30日)はすぎやまこういち先生の一周忌です。もう一年ですか・・・早いですね。衝撃のニュースが舞い込んできたのが去年のたしか10月2日で、しばらく固まったことを覚えています。

 すぎやま先生の訃報に際して、テレビ各局で特集番組が組まれた他、今年に入ってからは先日の24時間テレビで特別ドラマが放送されました*1

 またNHK音楽祭2022では10月19日に、ドラゴンクエストの楽曲を多く演奏・録音している東京都交響楽団の特別演奏会(指揮:準・メルクル)として、ドラクエの曲がいくつか演奏されます。わたしも行く予定です。

 今日はYouTubeを開くと「ドラクエファンがガチ投票!!ドラクエ神BGMランキングTOP20【すぎやま先生追悼企画】」という動画が上がっていて、これは今日のうちに見てしまわねばと思い*2、倍速ではなく通常再生でしっかり視聴しました。なおこのチャンネルはガチのオタク向けのコンテンツが多いので、ランキングもガチのオタクによる投票になっています。約30分終始鳥肌が止まらず思いが溢れてきて、この気持ちを誰かに伝えたい!と思いました。

 また、このチャンネルを運営しているろびんさん*3は「プレイ時間10,000時間越え」とおっしゃるようににわかファンであるわたしよりもよっぽどドラクエにお詳しいのですが、もしかすると音楽については自分の方が詳しいのではないか?と思いやろうと思っていたことを放棄してブログを更新することにしました。

 ということで、以下ランキング順にご紹介していきます。ネタバレは極力排除したつもりなのでご安心下さい。しかし思いが強すぎてかなりの長文になってしまったのでご注意ください。なお音楽用語の解説はかなり適当です。

※元の動画はこちら。ネタバレがかなりあるので未プレイ作品が多い方はあまり見ない方がよいかと思います。

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~目次~

第20位 神秘なる塔(DQ8

 名曲ですね~。和音が不思議なんですよね。ドビュッシー等のフランス印象派が使いそうな響きがしますね*4。神秘的な曲はそういう傾向にあります。すぎやま先生に言わせると「音楽のフランス語」で書かれた曲と言えるでしょう。*5

 メロディについても魅惑的で、この曲のメロディとハーモニー進行のことをすぎやま先生は自ら「エキゾチックでファンタスティック」と評しています。

 すぎやま先生はドラゴンクエストの曲をクラシック入門としても使ってもらいたいと考えていて、「標準的なオーケストラであれば演奏できるように」ということで極力特殊楽器を排した2管編成(金管は3管)で「交響組曲*6ドラゴンクエスト」(オーケストラ版)を作曲されています。しかし!この曲は聞いてもらえるとわかるように珍しくいろんな打楽器が用いられており多彩な響きを楽しむことができます。*7

 なお、Ⅷは他の作品と比べ打楽器がかなり多く採用されています。急げ!ピンチだの打楽器カデンツ*8ad lib.)はぜひコンサートで一度聞いてみてほしいです。それでもゲーム(PS2スマホ)版からカットされた打楽器はいくつかあり(例えば静かな村ひんやりと暗い道)、その他打楽器以外でも讃美歌に癒されて修道僧の決意はがっつり編曲されています*9。なんといっても空と海と大地のピアノが削除されたのが痛すぎる!!!!!

 ゲーム版とオーケストラ版の比較をすると、この曲に関しては弦楽器の繊細な響きを楽しめるオケ版に軍配が上がりますね。

第19位 遥かなる旅路DQ2

 名曲ですよね~。ドラゴンクエストビルダーズでも聞いた記憶があります。*10

 オケ版冒頭のゆっくりなところから既に名曲ですもんね。一定のリズムで響くハープがいい味を出しています。そして主旋律がなんとトロンボーン! トロンボーンが主旋律を担当することはクラシックにおいてもかなり珍しいです*11。見事なチョイスであることは聞けばわかるでしょう。

 その後オーボエ*12がまたなんとも儚げな、まさにオーボエにぴったりなメロディを裏のチェロと掛け合いながら奏でます。最後は転調して盛り上がり、決意を感じます。広野を行く同様、魔物のはびこる広い世界に大きな使命を背負って放り出された孤独さがよく出ています。

 余談ですが、ドラクエにはオーボエの音色を見事に活かした名曲が数多く存在し、聞けば聞くほどオーボエが吹きたくなってきます。例えば上の神秘なる塔の他に、広野を行くまどろみの中でエレジー精霊の冠哀しみを胸に王宮のオーボエ天空の世界など各タイトルにひとつはあるイメージです。

 なお交響組曲版ではこの後広野を行く果てしなき世界と続きます。過ぎ去りし時を求めてでは広野を行くからが採用されているのでこの曲を聴けません。残念。

 すぎやま先生は多くポップミュージックも多く手掛けており、この曲については裏の木管楽器のリズムがなかなか特徴的でちょっと変わっていますね。ドラクエでは結構木管楽器にこういう連符が多いイメージです。

 ロシアの広大な大地*13を思い浮かべて作曲されたそう。ちなみにⅡの主人公はローレシアの王子です。ロシアが隠れていますね。

第18位 戦火を交えてDQ5

 超名曲。魔物との遭遇を告げる怪しげなクロマティックスケール*14の上昇と下降*15から始まり、速いテンポで激しい音楽が繰り広げられます。弦がざわめき金管がうなり、非常にドラマティックに進んでいきます。通常戦闘曲として結構ボツを食らった後採用された曲のようです*16

 クラシックでいうとストラヴィンスキーの「火の鳥」から「魔王カスチェイの凶悪な踊り」とかですかね。すぎやま先生は好きな作曲家を一人挙げるならストラヴィンスキーだとおっしゃっていました*17。また、ベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ第9番」第1楽章に雰囲気が少し似ています。「クロイツェル・ソナタ」とも呼ばれるこの曲は、すぎやま先生が戦後唯一手に入れ擦り切れるまで聞き込んだSPレコードに収録されていた曲の一つです*18。途中交響組曲勇者の挑戦コーダ*19とほぼ同じ部分も登場します。

 交響組曲では不死身の敵に挑むとセットになっていてこれがまた名曲なんですよね。わたしが生まれて初めて自ら進んで聞きに行ったコンサートが交響組曲ドラゴンクエストⅤのコンサートで、非常に心躍りました。懐かしいな~。NHK音楽祭2022にて演奏予定! NHK交響楽団によるこちらの演奏をご覧ください。

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第17位 木洩れ日の中で(DQ6

 めちゃくちゃ名曲です。Ⅵをプレイしたことのある人は全員好きなのではないでしょうか? 2016年にネット投票による「みんなで決めるドラゴンクエストBGMランキングベスト100」で1位になっていました。さすがにそれは逆張りが過ぎると思いますが、ともかくそれだけ根強いファンがいることは間違いありません。*20

 他の町の曲に比べてもかなり明るい爽やかな曲です。動画でも言及されているように、ライフコッドの家から出た時の日差しが差し込む演出、最高ですよね。(ターニアーーー!!!!)SFCでⅥを開発するにあたって、技術の進歩からかⅤよりも細かい動きが増えていて、これもそのひとつです*21

 ロンドンフィル版だとピッコロが少しかすれているので、都響版でお楽しみください。ⅥのSFC版はすぎやま先生主導でサウンドプログラマチームを結成したことにより、かなり異色で面白いサントラになっているのでそちらもおすすめです。

 同じメロディがハッピーハミングフォークダンスにアレンジされて用いられています。ハッピーハミングSFC版がいいですね、ハミングみたいな音*22や激しい効果音が入っています。一方オケ版では金管によりゴージャスな曲になっています。

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 フォークダンスは小さいオーケストレーションでとてもかわいい曲になっていて、生まれ育った村の祭のシーンで使われることもあり聞いているととても幸せな気持ちになります。Ⅺでかかった時は嬉しかったです。*23

第16位 決戦の時(DQ9

 実はⅨ未プレイなので知らない・・・。名曲の気配はプンプンします。Ⅸをプレイした人はこの曲が好きだと言っている人が多いように思います。

 メロディは冒険の旅勇者の挑戦マーラーの「交響曲第1番(巨人)」第4楽章、「交響曲第2番(復活)」第5楽章を思い出しました。スターウォーズの「Throne Room」も近いでしょうか。序曲天の祈りが入っているのはアツいですね!

第15位 戦闘~生か死か~(DQ4

 スリリングな名曲です。かなり激しく手に汗握る曲となっています。*24途中静かになってから盛り上がるところが好きです。Ⅺにも使用例がありました。

 演奏面でもかなり大変そうです。弦楽器はR.シュトラウスを髣髴とさせる臨時記号まみれでひっきりなしの連符、一部で同じメロディを奏でるシロフォンも大忙しです。

 そしてやはり特徴的なのは途中の変拍子地帯です。9/8→2/4→7/8になっています。ここはすぎやま先生作曲の組曲「地獄の蟲」からの引用になっています。コード進行についてもなかなか面白いです(以下に参考動画を載せておきます*25)。Ⅳではこの他にのどかな熱気球のたびで不規則な変拍子を楽しむことができます。

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 N響版が一番テンポが速く激しいです。他の録音では、変拍子地帯で指揮とうまく合わなかったのかややテンポが緩んでしまったように聞こえます。

第14位 勇者の故郷DQ4

 これがもうどうしようもない名曲です。これは必ず交響組曲で聞いてほしいです。詳しくは書きませんが、第5章で初めてフィールドに出てこの曲がかかるまでのストーリーを踏まえると感動を禁じえません。

 全体を通して、悲しく寂しい気持ちと、これからどうしようかという途方に暮れた気持ちがよく表現されています。

 初め(Andante)のゆったりとした弦の響きが実に美しく悲しいものでとても好きです。ここも不思議な和音であり、少し転調を挟むのも気持ちがいいです。

 「同じメロディは3回までにしないとくどくなる」という一般論がありますがこの曲は4回繰り返され、すぎやま先生のセンスを感じます。

 この曲はオーケストラスコア*26を見たことがあるのですが、その後の弦のメロディで少しだけ明るくなるものの、アーティキュレーション*27や跳躍*28がトリッキーだったりグリッサンド*29があったりと、落ち着かない気持ちが出ているようです。

 途中のホルンが主旋律になるところは、通奏低音*30木管のトリル*31と相俟って、これからどこに向かうのだろうという不安が伝わります。ハ短調というのがまたいいですよね。

 一方で、ただ悲しいだけでなく、テンポは程よい速さ(Allegretto)であり裏でクラリネットが歩くようなリズムを刻んでいて、フィールド音楽としての絶えず歩んでいく感じもあり、唯一無二の音楽となっています。タンバリンもいい仕事をしていますね。

 Ⅳでは様々な、まったくイメージの異なるフィールドBGMを楽しむことができます。どの曲も名曲で、個人的にはおてんば姫の行進が好きです。武器商人トルネココントラバスが主旋律になっていることで有名です。

第13位 果てしなき世界DQ2

 ハッピーな名曲です。遥かなる旅路もⅡですが、あちらとは違い仲間との楽しい旅の雰囲気が出ています。*32

 弾むようなメロディがいかにもウキウキしているようで、メロディへのトランペットの起用等、クラシック感のない感じに仕上がっています*33。この曲も過ぎ去りし時を求めてに使われています。それにしても、個人的には初期作品はオリジナリティが溢れていて名曲が多いように思います。

第12位 広い世界へ(DQ8

 大名曲です。非常にスケール感のある曲となっていますが、これは今までドット絵だったドラクエがⅧで3DCGになり、目の前に広大な世界が広がる様をありありと表現しています。当初制作陣には「海っぽい」とも言われたそうです。

 なんとこれ、PR用動画(ⅤのPS2リメイクに付属していたプレミアムディスク)で使いたいから急いで作ってくれと発注され、1週間以内で仕上げたそうです。確かに素直でシンプルではありますが、とてもそうは思えませんよね。

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 ハープやティンパニが壮大さを演出していますね。となるとやはり交響組曲版の壮大さには替えられないものがあります。3DS版の都響の演奏が本当に素晴らしく、思わず聞き入ってしまう経験はプレイした方なら誰にでもあるのではないでしょうか*34。一方PS2版サントラではトランペットが豊かなビブラートをかけていて素敵です。*35

第11位 失われた世界(DQ7

 個人的にも大好きな名曲です。これは隠れた名曲という立ち位置になるかと思います。Ⅶには悲しい曲がいくつかあり、哀しみの日々同様この曲も初めて聞いたときにその美しく悲しいメロディに衝撃を受けた作品です。モンスターズシリーズの未知の世界を行く果てしなき旅にやや似ていますが、こちらの方が絶望感は強いです。ストーリーを知っていればわかると思いますが、何も楽しいことがなくなってしまったようなさびれた雰囲気が伝わってきます。

 こちらの動画では都響の首席フルート奏者の方がフルートで演奏されています。この曲はオーケストレーション*36はそこまで厚くない分メロディアスな曲で、いかに表現するかというところにオーケストラの腕が光る曲であるように思います。

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第10位 天の祈り(DQ9

 これも勉強不足のため知りません・・・。精霊の冠天空の世界に雰囲気が近いでしょうか。上の失われた世界にも少し似ていますし、トゥーラの舞のオケ版もかなり近そうです。

 クラシックの曲では「韃靼人の踊り」(ボロディン)や「グリーンスリーブス幻想曲」(ヴォーン・ウィリアムズ)、「パヴァーヌ」(フォーレ)なんかにも似たものを少し感じますね。しかし、民族性と神秘性を兼ね備えたメロディや色彩感のあるオーケストレーションの展開にすぎやま先生の個性が出ていますから、似ている曲を見つけるのは難しいでしょう。NHK音楽祭2022で演奏予定!

第9位 そして伝説へ(DQ3

 問答無用、最高傑作のひとつです。すぎやま先生も「この曲を知らない奴はモグリ」だと言っています。トヨタのCMに起用されたことでご存じの方も多いのではないでしょうか。題名のない音楽会ゲーム音楽特集で大トリを飾ったこともあるそうです。また昨年の紅白歌合戦での都響による指揮者なし演奏は感動的でしたね。なお、ドラゴンクエストⅢのサブタイトルは「そして伝説へ…」です。

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 英語ではInto the Legendといいます。海外NES版のみ、日本版より長くなったバージョンが用いられています*37*38

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 Ⅲのエンディングではロトのテーマが一通り流れた後突如トランペットの輝かしいユニゾン*39からこの曲が始まり、自分が一大事業をやり遂げたということを強く実感させられます。

 勇ましさを出すなら序曲同様ハ長調ホ長調などがいいような気もしますが、この曲は変ロ長調*40。そして冒頭のメロディは第5音(F)で立ち止まりなかなかB*41で解決*42しません。ただのハッピーエンドで締めるのではなく、タイトルの「伝説」を意識した、スケールがあり今までの長い道のりを思い返させるような曲に仕上がっています。もちろん楽譜には発想記号Maestoso(荘重に)の指示があります。

 また、変ロ長調は一般的なトランペット(B管)が一番得意な調でもあります*43。トランペットのための曲と言っても過言ではないかもしれません。

 個人的には中間部で短調になり、弦楽器がユニゾンでメロディを奏でる部分が好きです。あの雄大なメロディ、生涯忘れることはないでしょう。ややもすると「ただゲームをクリアしただけなのに」と思わせられるようなメロディには感動せずにはいられません。

 この部分の頭、打楽器群*44cresc.*45は、他のドラクエ作品でもここぞという盛り上がりの場面でしばしば登場します。例えばおおぞらをとぶ海図を広げて大海原へなど、海や空など視界が開けるような曲に用いられる印象があります。またこの部分のフルートの素早い下降音型は戦闘のテーマ勇者の挑戦にも登場しています。その後再び冒頭のトランペットが出てきた時の裏の、分厚い弦楽器の動きも好きです。

 そして最後、ティンパニが勢いよく登場したところから一気にrit.*46して堂々たる終結を迎えるのもまた感動的です。一番最後の音はそれまでとは変わりBのユニゾンになっており、鋭く突き刺さるダメ押しの一撃になっています。

 楽譜を見るとこの最後の音の頭は裏拍*47になっています。というのもその前の音が小節の初めまであるからです。基本的に小節の頭の音が一番重要ですから、小節をまたぐまで伸ばすことで充実した音になります*48

 これはブラームスの曲でよくあることで、聞いている側はしばしばビートを見失い、どこが小節の頭かわからなくなります。NHK音楽祭2022では前半にドラクエを取り上げた後、ブラームスの「交響曲第1番」を演奏予定です。ちなみにすぎやま先生は翌日の公演の紹介ということで、ご自身が指揮をした都響ドラクエコンサートの最後に、少しだけこの曲を指揮したことがあるそうです。

 Ⅺの過ぎ去りし時を求めてではほぼ丸々(若干変更有)引用されていて、こちらはNHK音楽祭2022の第一部最後の曲になっています。こちらのエンディングの演出も素晴らしいです。過ぎ去りし時を求めての作曲以前はこの曲がドラクエコンサートのアンコールに使われることが多かったようです。

 いきなりトランペットの強奏から始まりますが、かなりの高音*49が4度の跳躍*50で出てくるので、演奏する側からしたらこれを金管大活躍のドラクエコンサートの後のアンコールで吹かされるのはきついでしょう*51

 さらに言うと後半には局所的にかなり早いタンギング+跳躍が出てきますから、しくじっている演奏も多いと思います*52木管楽器について言えば、中間部で弦楽器が素晴らしいメロディを仲良く弾いている裏で、地獄の高速6連符アルペジオ*53をやらされることになります。

 この曲をすぎやま先生の指揮で生で聞くことができなかったのは残念でなりません。こちらの動画は昔発売されていた「ドラゴンクエスト ファンタジア・ビデオ」という映像作品の最後に収録されていたもので、アレフガルド交響楽団都響の選抜メンバーで構成されたオーケストラのようです。最後が速めのテンポになっています。

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第8位 この道わが旅DQ2

 明らかな名曲ですね。これもコアなファンから非常に人気の高い曲です。この曲も過ぎ去りし時を求めてに入っています。

 メロディにせよオーケストレーションにせよ、クラシックというよりは歌謡曲のような雰囲気のある曲で、実際に歌詞も作られており何度かシングル化されています。Ⅱ以外にも、ダイの大冒険エンディングやドラゴンクエストヒーローズのエンディングに使われています。

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 失われた世界やあるいは千と千尋の神隠しの「いつも何度でも」のようにハープから始まり、チェロを中心とした弦楽器がユニゾンでのびやかにメロディを奏で始めます。このあたりはチャイコフスキーの「交響曲第5番」第2楽章に近いかもしれません。木管楽器は小鳥のようにかわいらしい動きをし、タンバリンも軽やかに響き、まさに平和そのもの。

 その後転調するとなんとトランペットとトロンボーンにそれぞれソロが割り当てられています。都響の方が「金管の甘い音色を使ってくれている!」と感激していました。コンサートでは以下の動画のようにソリストが立奏することが多いようです。

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第7位 ジプシー・ダンスDQ4

 Ⅳを代表する異色の名曲です。これもⅣをプレイしたことのある人は全員好きだと思います。タイトルからもわかる通りロマ風*54の音楽を意識して、そしてよく勉強して作曲された曲となっています。カスタネットが入る曲はこれだけではなかったかな?(追記:Ⅲのピラミッドにも入っていました。)

 オケ版では途中のヴァイオリンソロも見どころです。実にリズミカルで情熱的な、魅力あふれる曲になっています。他の曲に比べて聞く場面は少ないはずなのに、あのそして伝説へすら抑えてこの順位に食い込んでいるのはすごいですね。

 世界的ヴァイオリニストの五嶋龍*55が参加している吹奏楽版の映像が以前はYouTubeにあったのですが、今見るとなくなっていました。ということで代わりに、生前すぎやま先生が音楽監督を務めていた日本センチュリー交響楽団のメンバーによるこちらの動画をどうぞ。かっこいいです。

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第6位 敢然と立ち向かう(DQ6

 スーパー名曲です。これが好きっていう人は大体オタクでしょう。というのも、少し雰囲気が違うのであまり初心者にはおすすめされることの少ないⅥにおいて、特定の一回の戦闘でしか使われない曲なのです。他のスピンオフで使われたという話もあまり聞きません。しかし、ドラクエ人気曲ランキングでは常連となっています。

 動画でもゲーム開始後すぐ流れるムドーの城へ向かうとの違いが説明されていますが、基本的な部分は同じです。交響組曲ではまとめて敢然と立ち向かうとして収録されています。

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 いきなり悪のモチーフ*56から始まり、トランペットによる雄々しいメロディが中心となって進行します。途中ヴァイオリンが叫んだり、トロンボーンが半音で上昇していくところなどもかっこいいです。勇気ある戦い暗闇にひびく足音魔王との対決など他のⅥの曲と同様、何度も登場する悪のモチーフによって他の曲との統一性が保たれています*57

第5位 勇者の挑戦DQ3

 圧倒的大名曲です。Ⅲを代表する人気曲のひとつです。ラスボス曲なのですが、タイトルは「挑戦」です。いかにⅢのラスボスが圧倒的な存在感を持ち脅威の存在であったかがよくわかります。Ⅺにも使われていて、どちらも初めは通常戦闘の曲ですが「ある条件」を満たすとこの曲になります。ダイの大冒険では少しアレンジされて採用されています。また、真島俊夫*58によるドラゴンクエスト・コンサートセレクションでは銅鑼が大量に追加されています。

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 いきなりショッキングな不協和音とトリルから始まり、さらに変拍子のパッセージが入ります。こう書くと、この序奏部は少しストラヴィンスキーの「春の祭典」のようです。主題は広野を行く及びアレフガルドにての変形になっています*59。裏でうごめく弦楽器も不気味さを演出し、またオケ版ではその後序曲のフレーズも顔をのぞかせます。これまでの冒険の集大成である、手に汗握る運命の一戦にふさわしい名曲です。

 金管の迫力を求めるなら都響版、わたしみたいに弦楽器の動きがもっと聞きたいならN響版をおすすめします。

第4位 おおぞらをとぶDQ3

 最高で完璧な一曲です。こちらもトヨタのCMで使われたことがありますね。初めてテレビで見たときは感動で固まりました。マリオやキングダムハーツなどのBGMを手掛けた下村陽子氏は「もし自分にこんな曲が作れたら、その瞬間に死んでもいい」と語っています。またドラクエの生みの親・堀井雄二氏が一番好きな曲でもあります。

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 なおⅧやⅪでも登場し、Ⅲをプレイしたことのある方であれば特別な感動を味わうことができます。わたしはⅧで出会い、この曲と素晴らしいグラフィックを楽しむため意味もなく空を飛びまわっていた記憶があります。そしてこの曲も過ぎ去りし時を求めてに入っています。過ぎ去りし時を求めてロトシリーズの名曲メドレーのようになっているのです。

 また、Ⅺの愛のこもれび空飛ぶ鯨は同じような空気感を持った美しい曲です。Ⅶの遥かなる空の彼方へも空を飛ぶ曲で、こちらはヴァイオリンの高貴なソロから始まります。海の曲は空とイメージが似ており、大海原へエーゲ海に船出してなど広大さを感じる名曲がそろっています。Ⅷの海の記憶は神秘性という面でも共通した美しい曲です。

 わたしがフルートを嗜むに至った最初のきっかけとなった曲であり、未だに(この世のすべての音楽で)一番好きな曲かもしれません。この曲を聴きながら死んでいきたいですね。一切の無駄がなく爽やかで、雄大で、神秘的で、優雅で、壮大です。すぎやま先生は「音楽のフランス語」で書いたとおっしゃっています*60

 なお個人的に、フルートソロが好きな曲には他に「ダフニスとクロエ」(ラヴェル)、「シェヘラザード」より「カランダール王子の物語」(リムスキー・コルサコフ)、「交響曲第1番」第4楽章(ブラームス)などがあるのですが、この曲を超えることはこれまでもこれからもないですね。特別すぎて半端な気持ちでは吹けません。

 曲はフルートとハープによるこの上なく美しいソロで始まり、オーボエに受け渡された後一気に果てしない大空へと聴くものを連れ去ります。その後一気に高度を上げるかのようなaccel.*61と上昇音型の後再び落ち着き、珍しくイングリッシュホルン*62が登場します。その後クラリネットとピッチカート*63による弾むような軽やかなパッセージを経て冒頭のメロディに回帰していきます。

 クラシックの曲で言うと、コダーイの「孔雀の主題による変奏曲」のオーケストレーションとの類似性が指摘されているを見たことがあります。フルートソロも出てきますよ。

 調はin Aであることはわかりますが、果たして長調でしょうか、短調でしょうか。なぜわかりにくいかというと、実は和音に3度*64の音が全然出てこないからなのです。3度の音は、それが「長」であるか「短」であるかでコードを変化させ長調短調かを決定づける音なのですが、それがない箇所が多いのです*65。よって、とらえどころのない神秘的な雰囲気が醸し出されています。

 「ドラゴンクエスト大辞典」で、ロンドンフィル版ではハープのFis(F#)がFes(F♭)になっていると指摘されていたのでCDのライナーノーツ片手に確認したところ、確かに少なくともソロのラストで一か所指摘の音になっていました(よく気づいたな・・・)。ということでおとなしく都響版またはN響版を聞きましょう。なお、ギターによるカバーも存在します(以下の動画35:43)。

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第3位 冒険の旅(DQ3

 超ド級の大名曲です。トヨタのCMでドラクエの曲が使われたシリーズの最初の曲です。堀井さんの「勇ましいフィールド曲がほしい」というたっての希望により完成した楽曲で、行進曲調で堂々と歩む逞しい勇者の姿を描いたような曲になっています。バトルロードシリーズでも使われていました。

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 トランペットの勇ましい旋律がドラクエの楽曲においても特に高名です。調はト短調で暗めで渋い響きとなっています*66。交響組曲では弦楽器群の厚いレガート*67から始まり、長い冒険の幕開けを予感させます。個人的には実はトランペットの部分よりここが大好きで、聞き始めたら1秒で鳥肌が立ちます。そして後半の緩急のある展開も劇的で、同じメロディでもこんなに発展させられるのかと驚かされます。

 各楽器に注目すると、トランペットが勇ましく響き、弦楽器と打楽器が裏で力強くリズムを刻みます。展開部では一転弦楽器が切なさを湛え、再びトランペットが勇敢に現れます。見事に各楽器がそれぞれの役割を果たし、Ⅲ全体の世界観を体現する短いながらに味わいのある一曲になっています。どう考えても名曲に違いありません。

 Ⅺでの用いられ方がわたしはたまらなく好きで見るたびに泣きそうになるのですが、ネタバレの都合でここには載せません。興味がある人は調べてみてください。*68またスマブラの勇者参戦PVにも登場しています。ダイの大冒険ではすごい編曲がなされています(すぎやま先生による)。

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 ランキング動画ではクラリネットの高音がキツくなってしまっているのでロンドンフィル版を使っているようですね*69

第2位 おおぞらに戦うDQ8

 度肝を抜く傑作です。ラスボス戦の曲ですが、Ⅲに似て初めは非常に静かな不安を煽る曲(忍び寄る影*70)が流れているのが、イベントを境に一気に激しくアップテンポなこの曲に変化します*71

 Ⅲの勇者の挑戦のような叫びから、グリッサンドを経て幕を開けます。そしてタイトルからもわかるように、おおぞらをとぶのアレンジによる主題が奏でられるのです。おおぞらをとぶは上でも触れたように人気の高い名曲であり、原曲が非常に静かで美しい曲なのに大胆にアレンジされている衝撃的な曲です。おおぞらをとぶが優雅に晴れ渡る空を自由に翔ぶような曲調であるのに対し、この曲はジェット機で乱気流の中を突き進むようなイメージです。

 交響組曲ではドルマゲス*72に続いて、スネアドラムのクレッシェンドをブリッジ*73として始まります。曲中では珍しくドラムセットが用いられ*74、非常にテンポ感のある曲となっています*75。曲中ではドルマゲスのフレーズが顔を出したり、突然おおぞらをとぶ原曲のように静かなパートもあり、敵の恐ろしさ・禍々しさとプレイヤーの決意・不安が共に反映されていて、ボス戦に身が入る手に汗握る曲となっています。

 この曲がドラクエ全曲で2位というのは、さすがにこの曲を推しているチャンネル主のろびんさんの影響が強く出ていると思いますが、名曲であることは否定のしようがありません。ゲーム版ではドルマゲス同様、小さめの銅鑼のような打楽器の音が随所に入っています。

 

 

 

第1位 序曲

 説明不要の最高傑作ですね。タイトル画面で用いられる他、作品によってはエンディングに用いられることもあります。

 すぎやま先生のあらゆる曲の中でも最も有名で*76、国内での知名度も非常に高いです。東京オリンピックの開会式で用いられたのも記憶に新しいところです*77ドラクエといえばこの曲で、冒険の旅のところで紹介したスマブラの映像にももちろん出てきます。

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 また、ピカソの名言*78をもじった「54年*79と5分でできた」というエピソードも有名です*80

 調はハ長調*81で至ってシンプルなメロディですが、これからの冒険が始まるワクワクやドキドキが詰まった完璧な曲です。ハ長調武満徹*82も言う通り、原点にして頂点ですね。*83

 今まで幾度となく聞いてきましたが、すぎやま先生が「聴き減りのしない音楽」としてクラシック調の曲を用いた*84のもあって、まったく飽きたことはありません。

 序曲と一口に言ってもナンバリングごとに違う曲が用いられています*85。本当にわかっている人であれば聞き分けられるようになりたいところです。曲名も若干異なり、以下のようになっています。

  • Ⅰ:序曲
  • Ⅱ:ドラゴンクエスト・マーチ
  • Ⅲ:ロトのテーマ
  • Ⅳ:序曲
  • Ⅴ、Ⅵ:序曲のマーチ
  • Ⅶ:序曲のマーチⅦ
  • Ⅷ:序曲Ⅷ
  • Ⅸ:序曲Ⅸ
  • Ⅹ:序曲Ⅹ
  • Ⅺ:序曲Ⅺ

 簡単に違いを整理しておきましょう。まず大きく序奏部の違いで4つに分けられます。Ⅰ~Ⅲでは狩人の角笛を意識したホルンによる「ホルン5度*86」を活かした通称「ロトファンファーレ」、Ⅳ~ⅧではトランペットによるG音だけの通称「天空ファンファーレ*87」、ⅨとⅩは豪華なtutti*88によるイントロで、Ⅹについては打楽器による合奏が挿入されます*89。そしてⅪはロトファンファーレをアレンジしたイントロになっています。

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 その他の違いとして、Ⅰの序曲(交響組曲)のみにBパートが存在し、ソナタ形式*90のようになっています。タイトルに「マーチ」と入るものはスネアドラムによってマーチ調になっていて、また裏のメロディが3連符か8分音符か、主旋律をどの楽器が担当しているかの違いの他に、裏メロに木管楽器の華やかなトリルがあったり打楽器が違ったりします。このあたりの観点で聞き比べてみましょう*91。なお、序曲以外にも言えることですが、作品を追うごとに金管楽器の負担が増しています*92

 個人的にはやはりⅠの序曲が一番好きです。Ⅰ限定のパートが好きなのもありますが、ややバロック感のある弦楽合奏で始まるところも好きです。

 余談ですが、中央大学の校歌のイントロと似ているとよく言われます(低音部は初めから結構違いますが)。あと二ノ国ⅡのCMの出だしがめちゃくちゃドラクエです*93

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まとめ

 さて、いかがでしたでしょうか。いかがもなにも、わたしが書きたいことを書いていただけなので、お付き合いいただきありがとうございました。

 思うところとしては、エンディング曲が2曲しかないですね。普通にプレイしていると1,2回しか聞くことがないので印象が薄くなってしまうのは仕方ありませんが、各作品のトリを飾る名曲がそろっています。ファンとしては長めの曲をゆっくり楽しめるという点でもうれしいポイントです。

 導かれし者たち凱旋そしてエピローグは巨大なスケールで作品を締めくくります。Ⅴは作品中のイベント曲を改めてエンディングに持ってくるという、一見すると手抜きのような気がする使い方になっていますが、一度プレイしていただければその意味がよくわかるでしょう*94

 NHK音楽祭2022で演奏される時の子守唄は中でも異色の作品で、短調で哀愁ある曲がⅥをさらに特徴づける曲になっています。空と海と大地もかなりしっとりした曲ではありますが、こちらは最後盛大に終わるのに対し時の子守唄は最後も非常に静かに消え入るように終わります。この良さはⅥをやってこそわかると思います。なおこの曲は元々「科学忍者隊ガッチャマン」で用いられた曲で、細かい部分以外はほぼ同じです。N響はⅥの曲を録音していませんので、貴重な録音になっています。

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 それからⅤの曲が意外にも少ないですね。王宮のトランペット街は生きている愛の旋律大魔王など名曲揃いなんですよ。Ⅴは作品自体はたいてい人気トップで、この前「テレビゲーム総選挙」でも全体2位を獲得していました。個人的にも思い入れのある作品なので、音楽も楽しんでほしいと思います。

 他に、モンスターズ用の曲もいい曲がたくさんありますが、交響組曲にはなりませんでした。確かすぎやま先生は録音に意欲を見せていたはずなので、とても残念です。

 さて、次回作はどうなるのでしょう。一応Ⅻを作曲中だという情報はあったはずなのですが、すべて作り終わったという情報はありません。ただ、序曲は初めに作曲すると思うのでそれは完成していると思ってよいでしょう。完成しなかった分はどうするんでしょう・・・。

 先生の言葉に「音楽は心のタイムマシン」というものがあります。まさにこの言葉を最も表しているのがドラクエの音楽で、聴くたびにドラクエをプレイしていた時の思い出がよみがえります。昔プレイしていた頃耳にしていたサウンドトラックを聞いた方が心に刺さる、というようなこともよくありますから、OSTを買うのもおすすめです。すぎやまこういち先生、名曲の数々を本当にありがとうございました。

 全然まとまりませんでしたが、このあたりで終わっておきます。他にも名曲はたくさんあるので、是非みなさんお気に入りの曲を見つけてくださいね。

 The End

参考文献

ようこそ!すぎやまこういちの世界へ

音楽 - ドラゴンクエスト大辞典を作ろうぜ!!第三版 Wiki*

ドラゴンクエスト30thアニバーサリー すぎやまこういちワークス~勇者すぎやんLV85~: スクウェア・エニックス + 配送料無料

https://www.tmso.or.jp/j/wp/wp-content/uploads/2021/12/sugiyama.pdf

ドラゴンクエストシリーズの楽曲一覧 - Wikipedia

社長が訊く『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』

*1:役者がだいたい芸人だったことについては納得していませんが。

*2:ちなみにわたしはすぐ”後で見る”に放り込むので既に800本以上の動画が眠っています。

*3:ドラクエⅤでキラーマシンを仲間にしたときの一体目はデフォルトでロビンになっています。

*4:例えばドビュッシーの「海」を聞いてみてください。

*5:ところで、元々Ⅵのために作られたから共通点が・・・という記述が以前「ドラゴンクエスト大辞典」に前載っていましたが今見るとないですね。聞いてもよくわからなかったし根拠が薄いのではと思っていました。

*6:交響組曲クラシック音楽のジャンルのひとつで、標題のある音楽を組み合わせひとつの作品としたものです。有名なものにリムスキー・コルサコフの「シェヘラザード」があります(わたしはこの曲がお気に入りです)。

*7:ちなみに現時点では「楽曲のクオリティ維持の観点から」ほぼプロオケにしか演奏の許可が下りていないようです。プロオケなら通常思いつく程度の特殊楽器なら使えますから、すぎやま先生には遠慮なくいろんな楽器を採用してほしかったです・・・。

*8:即興的で技巧的な、特定の楽器の単独パート。

*9:ゲーム版ではオルガンによる演奏になっています。

*10:「遙かなる」の表記が多いっぽいですが「すぎやまこういちワークス」では「遥かなる」でした。どっちでもいいんでしょうか。

*11:コラールなら結構ありますが。シベリウスの「交響曲第7番」、マーラーの「交響曲第3番」ではソロが登場しますが、これらは比較的近年の曲です。

*12:クラシックだとチャイコフスキーの「白鳥の湖(情景)」やボロディンの「韃靼人の踊り」で有名な楽器です。

*13:ロシアの大地と言えば「冬の日の幻想」の第2楽章「陰気な土地、霧の土地」(チャイコフスキー)や「中央アジアの草原にて」(ボロディン、アジアですがロシア人なので)が思い浮かびます。

*14:半音階。

*15:半音で離れていく曲はすぎやま先生の曲によくあります。この曲もループ部分は半音ずつ離れていきます。

*16:戦闘曲を毎回作るのは特に大変らしく、毎回4,5曲ほど作っていたそうです。

*17:理由はまったく作風の違う名曲を残しているため。握手してもらったこともあるそうです。

*18:シゲティによる演奏とのこと。

*19:終結部。

*20:正式な表記は「木漏れ日」ではなくこちらのようですね。

*21:他に冒頭主人公が起きるところや、戦闘場面におけるモンスターの動きなど。

*22:交響組曲にはもちろん存在しませんが、人の声のような音が入る曲にはこの他にPS2スマホ版Ⅷのこの想いをハープにのせて海の記憶(ソプラノ)と、モンスターズシリーズのモンスターセンター楽しい出逢いがあります。

*23:ちなみにSFC版は調が異なります。

*24:タイトルには表記揺れがあり、単に「戦闘」だったり「生か死か」だったりします。

*25:FC版のキーに基づく。

*26:総譜。すべてのパートの楽譜が並んで書いてある楽譜。

*27:音の具体的な指示。スラーやスタッカートなど。

*28:隣の音(2度)以外が並んでいること。

*29:音を連続的に変化させること。ピアノやハープでじゃららんと弾いたり、弦楽器で左手を滑らせてぎゅいーんってしたりするやつ。

*30:旋律の後ろで伸ばしている低音。地味ですが全体を支え雰囲気を作る重要なパートです。

*31:隣の音をぴろぴろやること。

*32:タイトルがややこしい・・・。ちなみにモンスターズに果てしなき旅という曲もあります。

*33:Ⅱは全体を通してポップス調の曲が多く、これはⅠの100年後という設定が影響しています。

*34:Ⅷからは都響だけが録音を残しています。

*35:ちなみにサントラ音源ではベースラインがエレキベースのような音になっています。

*36:楽器の使い方、割り当て。

*37:基本的にはループしていますが、原曲には存在しないアレフガルドにての主題を用いた部分が存在します。

*38:この他、海外版ではオープニングに日本版には存在しない曲名不明の楽曲が用いられています。日本版では容量の都合でタイトル画面は無音でした。

*39:同じ音(オクターブが違うものを含む)を演奏すること。

*40:リメイク以降。

*41:ドイツ音名。英語ならB♭、日本語では変ロ。

*42:根音に帰ってきて、曲の流れが落ち着くこと。序曲で言えばC(=ド)の音に帰ってくるところで、曲の最後もCで終わります。

*43:B管の場合、Bはピストンをまったく押さえない状態で出せる音です。

*44:スネア(小太鼓)、B.D.(大太鼓)、サスペンデッドシンバル(吊り下げたシンバル)は大体います。シンバルがポイント。

*45:クレッシェンド。

*46:リタルダンド

*47:そして伝説へは4/4拍子なので、2拍目と4拍目が裏拍です。この音の頭は2拍目。

*48:というかそう演奏するのが普通です。

*49:B。スターウォーズの有名な「メイン・タイトル」でも最高音になっています。

*50:FからB。ファ、ソ、ラ、シ♭(実音)なので4度。

*51:しかもドラクエファンはここが微妙だったらもちろん満足できません。

*52:都響の録音も若干ごまかしています。

*53:分散和音。Ⅰの和音をバラバラに鳴らすこと(上がり下がりはどちらでもよい)。例えばドミソドなど。

*54:ロマはジプシーと呼ばれる民族の一種。

*55:五嶋みどりの弟で、ハーバード卒。空手をやっていてゴリマッチョなことでもおなじみ。

*56:動機。音楽を構成する小さな音型。似たような概念にベルリオーズの用いた「イデーフィクス(固定楽想)」があります。クラシック音楽ではベートーヴェン交響曲第5番(運命)」の「ダダダダーン」があります。

*57:できればミュージカルの「キャッツ」のように一つのメロディですべての曲を表現したかったそう。

*58:すぎやま先生が吹奏楽編曲を認めた作曲家。亡くなった後編曲の後継者が見つかっていなかったようですが、今はどうなったのでしょうか。なお、ドラゴンクエストのオーケストラスコアは現時点ではⅣ(絶版)とⅪ以外市販されていませんが、吹奏楽用スコアは通販で購入が可能です。(追記:Ⅲも発売されました。)

*59:ドラゴンクエスト大辞典」とWikipediaでは遥かなる旅路のメロディがあると書いてありますが・・・ほんと?

*60:絵画でたとえると「印象派」とも。

*61:アッチェレランド。加速。

*62:フランス語でコーラングレ(略してアングレ)とも呼びます。大きいオーボエのような楽器で、ドヴォルザークの「交響曲第9番新世界より)」の第2楽章(家路)で有名です。一般に想像される丸い金管楽器のホルンは、区別したい場合はフレンチホルンと言います。

*63:弦を指で弾く奏法。

*64:この曲ならラに対してド(実音)。

*65:ルート音と5度の音だけのコードをパワーコードと言います。

*66:リメイク版以降。

*67:滑らかに音をつなげて弾くこと。

*68:とにかく、Ⅺをやる前に必ずⅠ~Ⅲをやらなければならないことは強調しておきます。

*69:ロンドンフィル版は正直イマイチな演奏が多いです。ただしⅦは名盤だと思います。

*70:この曲は弦楽器のみで奏でられる非常に静かで美しい名曲です。Ⅷの作中で何度も耳にすることになります。

*71:この展開がⅢを髣髴とさせるという点は、実際にプレイして確かめてほしいところです。途中まで一切Ⅲとの繋がりは感じさせていないので当時のプレイヤーは不意を突かれたことでしょう。

*72:中ボス曲であり、ラスボスの第一戦もこの曲です。

*73:繋ぎの部分。

*74:Ⅷは急げ!ピンチだ雄叫びをあげてなど全体としてドラムセットが用いられます。他にはⅣの戦闘~生か死か~やⅦの血路を開けにも用いられます。

*75:ポップスとクラシックの大きな差のひとつがドラムの有無なので、この曲も壮大な一方かなりポップな雰囲気もあります。

*76:ドラクエ以外にすぎやま先生は「亜麻色の髪の乙女」や「中山競馬場ファンファーレ」なども作曲されています。他にも世代の違うわたしでも知っている有名な曲がいくつもあるので、興味のある方は調べてみてください。

*77:イントロと行進で使われている序曲が違いますね。行進で使われた曲名は「序曲・ロトのテーマ」とされています。

*78:元のエピソードは、30秒で描いた絵が100万円もするのは高すぎると言われたピカソが「30年と30秒だ」と答えた、というものですが、「1分と80年」という説もあり、そもそもこのエピソードは事実であるかどうか怪しいようです。

*79:55年と言われている場合もありますが、すぎやま先生のホームページにもあるように作曲当時は54歳です。数え歳ということでしょうか。実際に先生がどちらを言ったのかは不明です。

*80:Ⅰの曲は全8曲といくつかのMEを合わせて納期が1週間だったそうです。

*81:リメイク版以降。

*82:日本を代表する現代作曲家。すぎやま先生とは1歳違いのようです。

*83:なおNHK音楽祭2022の後半、ブラームスの「交響曲第1番」はハ短調で、第4楽章で途中からハ長調になります。

*84:そもそも初めはクラシック調にするということも決まっていませんでした。すぎやま先生は、ドラクエの世界観が「中世ヨーロッパの騎士物語」のようなものだと聞いた時点でワーグナーの「ニーベルングの指輪」を思い浮かべ、ゲーム音楽はプレイしながら何度も聞くものだから聞けば聞くほど味の出るクラシック調にしようと思い至ったそうです。当時はピコピコ音に合わせた軽いBGMが一般的であったため、開発部の方たちもこの曲が納品されて衝撃を受けたそうです。

*85:ただしⅤとⅥは同じ。Ⅵはゲームでは2周目がカットされています。

*86:ホルンが一番美しく響くと言われている、完全5度の音の重ね方。FC版では音色の違いは出せなかったものの、このホルンらしい音型を用いて表現したそうです。ちなみに一般的にホルンは複数人のハーモニーで用いられることが多い楽器で、他にⅦの王宮のホルンでもホルン5度が用いられています。クラシック音楽の例ではベートーヴェンの「交響曲第3番」第3楽章、ドヴォルザーク交響曲第9番」第4楽章にホルンパートとして有名なパッセージが登場します。

*87:Ⅳ~Ⅵが天空シリーズと呼ばれています。ⅦとⅧは作品としては独立しています。

*88:全体合奏。

*89:「天空ファンファーレ」が会心作だったため、Ⅸで新しいイントロを作るようお願いされたときには一度断ったそうです。その後思いついちゃうのがさすが!

*90:序奏部、提示部、展開部、再現部、終結部からなる、クラシック音楽によく登場する楽曲構成です。

*91:ちなみに、ゲーム版と交響組曲版で明らかに違う場合があります。

*92:Ⅺのオープニングに使われている演奏ではトランペットが音を外している気がする。

*93:作曲はジブリでおなじみの久石譲

*94:プレイしたけどわからないという人、よく考えてください。